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2020年度の草の実会

2020年度の草の実会
 
 毎年のことですが2020年度の草の実会の基本計画を作成しました。
 新型コロナウィルスの感染が未だおさまらず、この先の見通しがつかず事業計画通りの活動がどこまでできるのか不確定ではありますが、私たちの2020年度の基本姿勢として掲載します。
 
 草の実会が設立されて20年がたった。この20年は大きく変化し続けた。設立当初は行政が決定する措置制度だったが、その後、基礎構造改革が語られ、2006年度からは福祉の主体は、当事者であるという支援費制度に変わった。施される福祉から福祉サービスは障害者の権利であり、当事者が福祉事業者と契約し、サービスを購入するという新しい仕組みになった。現在の障害福祉サービスの始まりである。しかし、行政から措置という仕組みの反省の弁はいまだにない。障害があっても人として、その基本的な人権を保障するものとしての制度改革ではなく、この制度変更を通して、民間の力も活用し、安上がりな福祉を目指そうとしたように思う。しかし、一度動いた権利としての福祉サービスは建前方向に大きく舵を切り、社会の成熟もあり(?)、障害当事者の社会生活の保障が年々進んだ。当事者運動としてのピープルファーストも追い風になった。
 措置制度であろうが、支援費制度に変わろうが、草の実会のすることは変わらないとの姿勢で、草の実会の各事業を運営していたが、障害福祉サービス事業者の増加に伴い、制度運用も厳格になる中で、草の実会の事業所運営も制度にのっとった運営をせざるを得なくなり、草の実会の運営理念が、時代にそぐわなくなっている面も感じられる。
 一方、社会の変化も大きかった。2011年の東日本大震災と福島原発事故、政権の交代、新型インフルエンザ禍、熊本地震、ヘイトスピーチと人種差別、戦争法、消費税の度重なる増税・・・。さらには、政府による度重なる公文書改ざん、破棄、隠蔽、沖縄の基地建設の強行。立法府・行政府による不祥事は挙げればきりがない。
 福祉に限って言えば、やまゆり園殺人事件が私たちの存在意義について大きな問いを投げかけた。「人を殺す福祉とは何なのか」「福祉施策を推し進めることが、人として生きることのプラスになるのか」「福祉の充実が社会の成熟か」。3月に結審した裁判でも真相は明らかにされなかった。何もまだ終わっていない。引き続きこの事件をめぐる課題に注目し取り組む。福祉からそれを否定する思想が生まれないように、そして、優生思想が未だこの国を深く蝕んでいることにも注目する。私たちは、福祉の中でのこれらの課題に注目していればいいのではない。この国の社会を覆う差別に目を向けることこそが、社会福祉法人がとるべき姿勢である。在日外国人に対する排外主義的差別言動に反対していく。また、障害を持つ人への教育の権利を認めない教育行政に対しても法人として注目していく。
 2020年の草の実会、設立から20年がたった草の実会、事業規模は格段に大きくなった。利用者、職員も大幅に増えた(亡くなった方、草の実会の利用をやめた方も少なからずいるが、相変わらずいろいろな困難を抱える方の貴重な受け入れ先になっている。無認可時代を知っている職員は、ごく少なくなったが、新たに加わってくれる方も続いている)。草の実会を始めたころ、利用者100人、グループホーム10か所を事業の上限と考えていた。この上限はとっくに超えてしまっている。今後、これ以上の規模の拡大は想定しない。今いる利用者のため、職員、家族、そして応援してくれる方々とよりよい支援を実現するとともに、草の実会の理念にある「・・だれもが住みやすい社会の実現・・」を見据えた法人を目指したい。
最近、SDGs(エスディージーズ)のことがよく話題になる。国連が提唱する「だれも取り残されない持続可能な開発目標」と。世界は、間違いなくこの方向に向かっている。この国でも私たちの周りでも、このことを実現する活動こそが福祉を含めたすべての課題だと思う。尊敬できる指導者を生み出そう。雪解け跡から何も出てこない街を目指そう。
                                                                                                                             理事長  手塚 玄
 

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