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2025年を迎えて
2025-01-01
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2025年を迎えて
社会福祉法人草の実会
理事長 手塚 玄
新年、あけましておめでとうございます!
ここ数年、ここでみなさまの人生が実り多きものであるよう祈ってきました。でも現実にはこの国はどうもそちらに向かっているようには思えません。
2050年には、CO2の排出量を実質ゼロにするという国連で確認したSDGsのための具体的で思い切った方策が、この国はもちろん、地球のどこかで実施されたという報道は聞いたことがありません。経済活動は拡大するばかりで、CO2の実質排出量はほとんど削減されていません。あと25年しかないのに。ウクライナへのロシアによる侵略、ガザ地区でのイスラエルによるジェノサイドをはじめ、戦争が終わる兆しは見えません。さらに北朝鮮のウクライナ侵略への参戦、トランプ大統領の復帰、中東での対イスラエル戦争勃発の懸念、西欧諸国での移民排斥を掲げた政党の伸長…ますます自国の利益第一、力にものを言わせる世界に向かっているように見えます。
それでも被団協のノーベル平和賞受賞、袴田さんの無罪確定、夫婦別姓が実現しそうな雰囲気…などなど喜ばしい出来事もありますが、この国も世界も未来に希望が持てる方向に進んでいるとは到底思えません。
世界で難民が増え続けています。食糧危機も深刻化しています(WFPによると世界で7億5千万人が飢餓状態に)。命の危機にある人が、戦争によって増やされています。国際紛争は56か所で92の国が関わっいて、難民は1億2千万人に。世界は平和ではないのです。
福祉の人間が何をわかったようなことを言っているのだ、と言われるかもしれません。その通りです。私の仕事でもある福祉については、そこそこ知っているつもりですが、世界のこと、この国の政治のことについては、知らないことの方が多いのです。でも、少なくとも人を助けることを仕事としているものとしては世界の有り様を、そして、この国の今の有り様を納得して「そうだ、これでいいのだ」と受け入れることはできません。人を助ける仕事をしているからこそ、黙っていられません。直接関わっている人には「よかったね、これからもがんばっていこう!」と語れてもそのほかの多くの人たち(戦争、紛争の犠牲になっている人たち、住むところを追われた人たち、低賃金できつい労働をさせられている人たち、いわれのない差別を受けている人たち、障がいがあるゆえに社会から排除されている人たち等)へは語る言葉もありません。それは「それがあなたの現実!私の責任ではない、だから自分で努力するかその現実を受け入れるしかないだろう」と言っているのと同じことです。何と情けない。苦しんでいる人の前で何も言わないのはさらに追い込むことと同じです。
「自国第一」とは、その国の多くの権益を持っている人の権利を優先すること、「国民の生命財産を守る」とは、その国の力あるものの生命財産を守るということでしかなく、生命の危機、権利侵害されている人の権利回復は考えられてはいません。国民全ての幸せを考えてはいません。その中で福祉はどんな立ち位置にあるのでしょうか?ただただ制度に則った事業をしていればよいのでしょうか?苦しい立場の人たちを支えることはしなくてよいのでしょうか?福祉現場の現実は人材不足、高くない報酬、安い賃金、給料を増やせば人材が確保されるのでしょうか。そもそもその財源は?ごまかしの給料増額施策。もはや弱者を第一に考える新しい政府によって実効性のある政策を講じてもらうしかないのでは。
だから、投票権を行使しよう!選挙には必ず行こう!選挙公報を読み、政見放送を聞き、自分で考え、この国を任せられる人物を自分で見極めて行動に移そう!投票しよう!今回の衆議院選挙、自公が過半数を割ったと言っても変わりを担える野党もいない。それで投票率は50%強(若い世代の投票率がとても低い)。残りの40%を若い人が意思表示したら…。この国の現状は情けない限り。でも変えることができる!それには一人ひとりが意思を表示することでしか叶わないのです。
報告です!5年前、この会報でもお伝えした滋賀県の社会福祉法人グローとその前理事長北岡賢剛氏を安全配慮義務違反とセクハラ・パワハラで訴えた裁判の判決が昨年10月に出されました。北岡氏による女性職員二人に対するハラスメントは全て事実であり、グローはそのことへの必要な措置を取らなかったことを認め、損害賠償金の支払いが命じられました。グローは、判決を受け提訴事実を認め、謝罪と“ハラスメントを起こさないための職場環境づくり”と“法人運営の更なる健全化”を表明しました。しかし、一番の加害者北岡賢剛氏はまだ沈黙のままです。詳しくは別の機会に。
最後に…昨年10月、草の実平岸の里の職員、田中綾子さんが病気のために亡くなりました。重い病気を抱えながら何度か入院しましたが、その度に元気になって職場に復帰して働いてきました。今回も本人は退院したらまた仕事を頑張るつもりでいましたが病気には勝てませんでした。草の実会に来て17年、草の実会の全ての部署で働いてくれた唯一の貴重な職員でした。戦争法案の時は、働く母として法案反対を宣伝カーの上から訴えました。やまゆり園事件の時は、自分の意見を真っ先に書いてくれました。これからの活躍を期待していたのですが。ご冥福をお祈りいたします。
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